本研究ではシェーグレン症候群(SS)モデルマウスを用いて唾液腺の再生を試み、口腔乾燥症の治療法を確立することを目的としている。 SLE自然発症マウスNZM2328にマウスサイトメガロウイルスを感染させSSにきわめて類似した唾液腺炎を発症させ、このマウスに多分化能を持つ組織幹細胞であるside population cells(SP細胞)を移入して唾液腺の機能の再生を獲得することを目標にしていた。 種々の臓器におけるSP細胞は組織幹細胞として細胞移入によって臓器の機能回復などに寄与することが報告されているが、唾液腺においては移入したSP細胞が唾液腺内で幹細胞として器官形成をせずに散在したままであるという報告も出た。NZM2328マウスの生育状態が悪くSSモデルのinvivoでの移入実験ができなかったこともあり、以前同われわれの研究室で行った胎仔マウス顎下腺細胞から得た単一化細胞を培養して行った組織再構成の方法を用いてSP細胞の培養を行った。単一化細胞を安定させるマトリックスや増殖因子の条件を変えて細胞集合塊の器官培養を試みたが、器官培養には至らなかった。このため、現在はより確立されて多分化能を持つことがわかっている骨髄組織幹細胞、脂肪組織幹細胞を採取してこれをマウスに移入する実験へと方向を変換しその予備実験を行っている。
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