研究課題/領域番号 |
21592535
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
金村 成智 京都府立医科大学, 医学研究科, 准教授 (70204542)
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研究分担者 |
山本 俊郎 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (40347472)
雨宮 傑 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (90398389)
赤松 佑紀 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (40580733)
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キーワード | 移植・再生医療 / 再生医学 / 細胞・組織 / 歯学 / 臨床 |
研究概要 |
羊膜は、胎盤の最表層を覆う薄膜で抗炎症、血管新生抑制、瘢痕抑制作用などを有し、様々な上皮細胞の培養基質として適していることが知られている。われわれはこの羊膜を基質として口腔粘膜上皮細胞シートを作成し、多様な口腔外科手術後における口腔粘膜欠損への自家移植を行い、新たな再生医療を用いた手術療法の確立を目指すべく、その有用性および有効性について検討を行った。当該研究に文書による同意が得られた口腔外科手術予定患者に対して、手術約2週間前に口腔粘膜上皮細胞の採取を行った。なお、細胞培養に添加する血清は、あらかじめ該当患者より採血を行い、得られた自己血より分離・精製した自己血清を用いた。上記より作成された羊膜上培養自己口腔粘膜上皮シートを、各種口腔外科症例に対して自己移植を行い、慎重な術後経過観察処置を行った。自己口腔粘膜上皮細胞培養シートの臨床応用を実施した全症例にて、口腔粘膜上皮の採取および自己血採血時におけるトラブル等なく、自己口腔粘膜上皮細胞培養シート作成においても、問題なく施行することができた。自己口腔粘膜上皮細胞培養シートの移植術を実施した臨床症例の内訳については、粘液嚢胞3例、口腔白板症3例、多形性腺腫1例、口唇腫瘤1例、頬粘膜線維腫1例の9症例であった。内、口腔白板症の2症例については、病変切除後の実質欠損が大きく、培養シートの縫着固定が困難であったため移植術が施行出来なかった。他、7症例については、術後1~4年の経過観察にて移植部位における拒絶反応や感染、培養シートの脱落などの異常所見なく生着した。さらに肉眼的に創部の瘢痕を抑制しており、新しい口腔粘膜が獲得され、自己口腔粘膜上皮細胞培養シートによる口腔粘膜の再建は新たな再生医療的治療法として可能であることが示された。以上より、様々な外科症例への自己口腔粘膜上皮細胞培養シートの口腔粘膜の再建は一定の成功を収めたが、移植術の術前の慎重な症例の選択が重要であることが示された。
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