研究概要 |
研究成果の内容:1.ヒト顎関節関節円板組織を用いた免疫組織化学的染色。ルミカン:変形した関節円板の内方に強い発現を認めた。特に線維芽細胞様細胞の周囲に強い発現を認めた。ファイブロモデュリン:変形した関節円板の表層に弱い発現を認めた。CD34,VEGF:変形した関節円板組織内に発生した血管壁に強い発現を認めた。低分子ヒアルロン酸合成酵素:変形した関節円板の裂隙に存在する軟骨細胞様細胞に強い発現をみとめた。2.ヒト顎関節関節円板培養細胞を用いた実験。ルミカン:通常酸素下におけるIL-1β刺激24,48時間培養でmRNAの発現がIL-1β刺激なしと比較して有意に増加した。ファイブロモデュリン:通常酸素下におけるIL-1β刺激でmRNAの発現を認めなかった。低分子ヒアルロン酸合成酵素:低酸素培養下におけるIL-1β刺激3,24時間培養でmRNAの発現がIL-1β刺激なしと比較して有意に増加した。以上の結果を英文誌に報告した。 意義:ルミカンはIL-1βにより顎関節関節円板組織内の環境変化に対する調整、組織再構築の役割があることが示唆された。ファイブロモデュリンはIL-1βによる環境変化に影響を受けないことが示唆された。低分子ヒアルロン酸合成酵素は顎関節関節円板の病的変化に関与することが示唆された。顎関節関節円板組織の病的組織再構築に細胞外マトリックスであるルミカン、低分子ヒアルロン酸が関与していることがわかった。 重要性:上記意義より、顎関節関節円板の細胞外マトリックスの変化を追及することが上皮-間葉移行の誘導を解明する大切な手がかりになると考えられる。
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