研究課題
処置内容による浮遊血液の解析を行い発表した。口腔外科では下顎埋伏智歯抜歯に代表されるように、出血している術野での高速回転切削器具が頻繁に使用される。一般歯科診療では、骨を削除するような処置はないが、歯冠形成や2級窩洞形成では歯肉縁下まで切削器具が入るため、出血量は少ないものの、血液を含んだエアロゾルの発生が考えられた。歯冠形成、2級窩洞形成、超音波スケーラーを用いたスケーリング、コントロールとして出血を伴わない1級窩洞形成の4種の歯科治療における血液エアロゾルの調査を行った。その結果、術野から後方(飛沫が飛ばない方向)に100cm離れた位置に設置した口腔外バキュームのノズルに装着したフィルターで、下顎埋伏智歯抜歯では90%(35/39)、歯冠形成では48%(15/31)、2級窩洞形成では29%(6/21)、超音波スケーリングでは12%(4/33)の陽性率で血液が検出された。また、1級窩洞形成では血液は検出されなかった(0%)。Quintessence Internationalに掲載(2011;42(5):399-405)。口腔外科診療室内における浮遊血液の調査を行った。診療室の定点に口腔外バキュームを午前、午後の2~3時間で連続稼働させ、エアーサンプルを行った。ノズル先端に装着したフィルターで血液検出試験を行い、浮遊血液の有無、陽性率、陽性反応個数について記録した結果、午前の2時間では63%(22/35)、午後の3時間では77%(24/31)の陽性率で血液が検出された。口腔外バキュームと診療台の距離がもっとも近いもので3.2m、もっともはなれている診療台で8.8mで、いずれの診療台においても観血的処置を行っており、検出された血液はどこから浮遊してきたものかは不明であるが、歯科診療台が複数設置された診療室内における浮遊血液の存在が示唆された。
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Quintessence Int.
巻: 42(5) ページ: 399-405