研究概要 |
近年、MRIの歯学領域での普及に伴い,高度な開口障害を有する顎関節症類似の病態を示す疾患である咀嚼筋腱・腱膜過形成症の臨床所見が明らかになってきたが、鑑別診断法として重要な位置を占める画像診断については,いまだ推測の域を出ていないのが現状である 咀嚼筋腱・腱膜過形成症の疾患概念は,2008年にようやく専門学会である日本顎関節学会で共通認識されたばかりであり,画像診断基準もいまだ定まっていない.また基礎的研究も緒についたばかりである.本研究の成果が明らかになれば,咀嚼筋腱・腱膜過形成症の画像診断が可能となり,除外診断と,推測でしかできなかった顎関節症との鑑別が確立し,誤った治療法の継続を除外することとなり,患者に福音を与えるものと信じる 平成22年度は正常者および咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者の咬筋,内側翼突筋,側頭筋,外側翼突筋の腱.腱膜の発現部位,発現様相をCT画像を用いて解析を行った。 正常者の対象は大阪歯科大学教員ならびに学生で個性正常咬合を有するボランティアとし、咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者の対象は大阪歯科大学附属病院口腔外科を受診し咀嚼筋腱・腱膜過形成症と診断された患者とした 16列マルチスライスCT装置Bright Speed(現有設備)を使用して撮像し咬頭嵌合位における咀嚼筋領域を撮像し,DICOM画像データを採取し、3次元医用画像処理システム(Real INTAGE)を使用して,咀嚼筋領域の腱・腱膜を可視化させ,その発現部位,発現様相,容量の解析を行った
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