研究概要 |
1)咀嚼筋腱・腱膜過形成症(以下HyTAM)の画像診断法を確立するため,CT画像を用いて,ヒト咬筋における腱・腱膜の分類を行った.【対象と方法】対象は大阪歯科大学附属病院中央画像検査室においてCT撮影を行ったHyTAMではなく,咬筋部および顎骨内に病変を有さない者100名200側(以下対照群)と,HyTAM患者17名34側(以下HyTAM群)である.CT装置は16RowMDCT Bright speed(GE, USA, Milwaukee)を用いて撮影を行った.撮影条件を以下に示す;管電圧:120kV,管電流:100mA,Thickness: 0.625mm,Image pitch:0.9mm,FOV230×230mm、Matrix:512×512,画像プロトコル:Soft tissue.撮影は仰臥位で,頚部の過剰な伸展や屈曲をなくし,中心咬合位で行った.得られたCT画像データをSoft tissueデータに変換し,Advantage workstation(GE, USA, Milwaukee)に転送した上で,Window level: 80, Window width: 20で3次元解析を行った.ヒト咬筋内の腱・腱膜の分類を以下の4タイプに分類した;I型:咬筋前縁に細い腱が1本,II型:頬骨突起から下顎骨咬筋粗面に至る連続する腱が咬筋前縁に1本,III型:頬骨突起から下顎骨咬筋粗面に至る連続する腱が咬筋に複数存在,IV型その他.【結果】対照群: I型: 163側, II型: 14側, III型: 19側, IV型: 4側 HyTAM群: I型: 0側, II型: 1側, III型: 31側, IV型: 2側 【結論】ヒト咬筋における腱の分布は,HyTAM群と対照群では異なることが明らかとなった.2)HyTAMにおける下顎運動解析および咬合力の計測を行った.【対象と方法】対象は顎関節に症状のない健常者9名(対照群)とHyTAM患者11名である.顎運動測定装置(K7システム)を用いて下顎運動解析を施行し,DePROS709を用いて最大随意噛みしめ時の咬合力を測定し、比較検討した。【対象と方法】対象は顎関節に症状のない健常者9名(以下対照群)とHyTAM患者11名とした。【結果】下顎運動では最大開口量において、HyTAM群は対照群に比較して有意に開口量が小さかった。また、最大随意噛みしめ時の咬合力はHyTAM群で有意に大きかった。側方運動、前方運動量では両群に有意さを認めなかった。【結論】下顎運動解析と咬合力の測定はHyTAMを診断する上での指標となりうると考えられた.
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