研究課題
本研究の目的は、頸部のような解剖学的に複雑な領域や口腔内のような狭い空間内でのスキャニングが可能な超音波プローブとナノバブルと高周波超音波を用いた新しい術中迅速画像診断システムを開発することである。これまでの研究においては、実験腫瘍モデルマウスを用いて、口腔領域のような狭小なスペースに多様な組織あるいは臓器が混在する部位を想定した場合に生じる、ナノバブルと高周波超音波を用いた画像診断システムによる腫瘍血管の画像解析における問題点を検討した。その結果、本診断システムにおいて解決すべき様々な問題点が浮上してきた。すなわち、頸部所属リンパ節のように病巣部の近傍に太い動脈がある場合における超音波造影画像においては、超音波造影剤によるいわゆるハレーションが生じること、さらに、動脈の拍動により血管構築画像にぶれが生じることにより、微小血管の描出が困難になること、未成熟な腫瘍新生血管では、未だ循環系に組み込まれておらず、組織学的に血管が存在しても画像として描出されないこと、静止画像では、正常組織と病変部との識別が困難であっても、ナノバブルの血中の動態を四次元的に解析することにより、病変部を識別できる場合があることなどである。平成22年度の研究においては、超音波画像解析装置のハードおよびソフトの両側面からの改善策を検討し、かなりのレベルまで改善することができた。しかし、6軸アームを使用した場合、6軸アームのバックラッシュにより抽出画像の誤差が無視できないレベルで生じるという問題が浮上してきた。
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Ultrasound Med Biol
巻: 36 ページ: 1196-1205