研究課題
本研究の目的は、頸部のような解剖学的に複雑な領域や口腔内のような狭い空間内でのスキャニングが可能な超音波プローブとナノバブルと高周波超音波を用いた新しい術中迅速画像診断システムを開発することである。これまで我々は、実験腫瘍モデルマウスを用いて、ナノバブルと高周波超音波を用いた画像診断システムによる頭頸部領域の腫瘍血管の画像解析における問題点を検討した。その結果、病巣部の近傍に太い動脈がある場合においては、超音波造影剤によるいわゆるハレーションが生じること、さらに、動脈の拍動により血管構築画像にぶれが生じることにより、微小血管の描出が困難になること、未成熟な腫瘍新生血管では未だ循環系に組み込まれておらず、組織学的に血管が存在しても画像として描出されないこと、静止画像では、正常組織と病変部との識別が困難であっても、ナノバブルの血中の動態を四次元的に解析することにより、病変部を識別できる場合があることなどが明らかとなった。これらの問題点に関して、これまで、超音波画像解析装置のハードおよびソフトの両側面からの改善策を検討し、かなりのレベルまで改善することができた。しかし、6軸アームを使用した場合、6軸アームのバックラッシュによる抽出画像の誤差が無視できないレベルで生じることが明らかとなり、平成23年度においては、6軸アームのバックラッシュの問題の解決をハードおよびソフトの両面から検討した。しかし、現有の6軸アームでの諸問題の解決は困難であり、むしろ比較的狭い範囲を一方向にスキャン可能な超音波プローブを開発し、その超音波プローブを用いて二次元画像を取得し、その二次元画像から三次元画像を構築するシステムの開発の方が現実的と考えられた。
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