研究課題
転写因子であるNF-κBが口腔癌治療の分子標的の一つになりえることを明らかにした。プロテアソーム阻害剤であるbortezomibを用いてNF-κBを抑制すると抗腫瘍効果が得られたが、完全には増殖を抑制できなかった。そこで、bortezomibの抗腫瘍効果を増強するために、抗アポトーシス分子のcIAP1とXIAPに着目した。従って、本研究ではNF-κbと抗アポトーシス分子の抑制に着目し、複合的分子標的治療法を確立することを目的とする。口腔癌細胞をbortezomibで処理すると、NF-κB活性は濃度依存的に抑制され、腫瘍増殖が抑制されることを明らかにした。さらに、ヌードマウス背部皮下に移植した口腔癌細胞にbortezomib投与あるいは放射線照射を行い、腫瘍の経時的な大きさの測定と腫瘍組織から蛋白とRNAの抽出を行い、western blot法と定量的real-time RT-PCR法でcIAP1とXIAPの発現の発現を検討した。Tubulin蛋白あるいは内因性コントロールであるGAPDH mRNAを用いて標準化し、比較検討した結果、cIAP1とXIAPの発現はbortezomib投与によって抑制され、放射線照射によって増強された。放射線照射によって増強されたcIAP1とXIAPの発現は、bortezomib投与を併用すると、著明に抑制され、同時に腫瘍も有意に縮小した。今後、放射線照射、bortezomib処理あるいはsiRNAによるcIAP1とXIAPの発現抑制を併用し、相乗的に細胞増殖が抑制されるか解析する。
すべて 2009
すべて 学会発表 (1件)