研究課題
基盤研究(C)
本研究ではNF-κBと抗アポトーシス分子の抑制に着目し、複合的分子標的治療法を確立することを目的とした。正常ヒト口腔粘膜上皮と口腔癌細胞の抗アポトーシス分子の発現を比較した結果、正常細胞に比較し、癌細胞ではその発現は増強していた。85症例の口腔扁平上皮癌を対象に抗アポトーシス分子であるXIAPの免疫組織染色を行った結果、86%が陽性であった。一方、正常口腔粘膜には発現を認めなかった。XIAPの発現と腫瘍の大きさ、癌の分化度、浸潤様式、リンパ節転移の有無、3年生存率と関連性があるか比較検討を行った。その結果、XIAPの発現と癌の分化度とは関連性を認め、症例数が少なかったため、有意差は認められなかったが、XIAPが発現するとT1とT2症例の3年生存率が低下する傾向にあった。すなわち、抗アポトーシス分子であるXIAPが口腔癌の治療の標的遺伝子になる可能性が示唆された。
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