研究概要 |
1) ヒト末梢血好中球に種々のサイトカイン(IFNs、IL-1、IL-6、IL-8、TNF-alphaなど)と培養し、培養上清中のs-TRAIL、s-DRl、2、4、5および好中球内のTRAIL濃度をEHSA法で測定した。その結果、IFNsが有意に好中球のTRAIL産生を増強したが、TRAILレセプターの発現あるいは遊離には影響しなかった。更に、被検者間でのIFNsによる好中球TRAILの増強効果に差はみられなかった。 2) 1)の結果から好中球TRAIL産生増強を示したIFNsとの組合せによる扁平上皮癌細胞への傷害効果について検討した。培養上清による種々のヒト由来扁平上皮癌細胞(HSC-2,-3,-4,NA,SAS,Ca9-22)の傷害効果についてクリスタルバイオレット法およびannexin V/PI染色法を用いてFlow cytometerで解析した。その結果、in vitroの系ではIFNsによって産生増加した好中球由来TRAILでは扁平上皮癌細胞に対して十分な傷害作用は惹起されなかった。この結果は、好中球と扁平上皮癌細胞を共培養条件下でも同様であった。 3) 2)の結果を踏まえて、基盤研究(B)(19390524)の研究成果であるTRAIL誘導アポトーシスの促進効果をもつPI 3-K阻害剤、EGFR阻害剤やプロテアソーム阻害剤などで扁平上皮癌細胞を前処理することによる仔中球由来TRAILの傷害効果について検討した。その結果、扁平上皮癌細胞を予めプロテアソーム阻害剤で処理することで好中球由来TRAILによってアポトーシスを介する細胞障害が誘導された。
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