研究概要 |
最近,小型のガンマカメラを用いるセンチネルリンパ節生検の手法が試みられている。しかし,手術室でセンチネルリンパ節へのRI集積を画像として確認できる反面,ガンマカメラが術野を被ってしまう。色素を用いた方法では解剖学的構造の中でセンチネルリンパ節を確認できるがタイミングの問題や深部の判定に難がある。私たちは複合イメージングプローブを用いてセンチネルリンパ節のマッピングを小型半導体ガンマカメラで行い,リンパ節生検は近赤外蛍光によって解剖学的構造を確認しながら検出をするという新しい手法の可能性を検討した。この目的で基礎的および動物実験を行った。PAMAM修飾シリカナノ粒子表面に^<99m> TcとICGを結合させたナノ粒子(粒子径分布30nm)の複合イメージングプローブを作製した。TLC, thinlayerchromatographyとイメージングプレート(IP, FLA-2000, FujiFilmCo. Tokyo)を用いて近赤外蛍光とRIを検討した。近赤外蛍光はPDEシステム(HamamatsuPhotonicsCo, Japan)を使用して画像を検討した。本ナノ粒子キャリア溶解液100-500ppbの0.1ml(約7.4MBq)をラット6匹の舌粘膜下に注射して頸部リンパ節を検索した。ガンマカメラ撮像後に頸部を開創して蛍光イメージングで描出した。TLCにおいてシリカナノ粒子溶解液のスポットをIPと蛍光で確認できた。ラットのリンパ節にRI集積と蛍光が認められた。集積と蛍光の程度,ウェルカウンターによる放射線測定結果は関連していた。透過型電顕によりシリカナノ粒子がリンパ節内に存在することを認めた。ナノ粒子によるRIと近赤外蛍光の複合プローブを用いた新しいセンチネルリンパ節生検の可能性が示唆された。また,本ナノ粒子キャリアを用いて転移細胞へのターゲットとイメージングへの方向性が示された。
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