研究課題
平成21年度の研究成果としては、ヒト末梢血からのEPCの分離培養の系を立ち上げることができた。末梢血由来のEPCはUEA-1 lectin陽性で、DiI-4c-LDLの取り込み陽性であり血管内皮としてのcharacterが確認された。また、マウスからも同様に末梢血からEPCを分離し、それらの培養方法を検討し、系を立ち上げることができた。マウスEPCに関してはBS1-B4 lectinが陽性であることが示され、またVEGFR2やCD144などの血管内皮マーカーの発現が確認された。これらはいずれもCD34、CD105などの幹細胞マーカーが陽性であることがFACSによって確認され、前駆細胞としての性質を培養条件下でも維持することが示された。これらのEPCを用いて血管新生能について解析をした。正常血管内皮細胞と比較して、増殖が早いこと、また遊走に関わるシグナル分子Aktのリン酸化が亢進していることなどを確認した。これらのEPCはVEGFに対して正常血管内皮細胞よりも遊走能が亢進していた。これらのことより、末梢血から血管内皮前駆細胞を分離培養することが可能で、それらが確かに血管内皮細胞にin vitroで分化することが示され、高い血管新生能をもっていることが示唆された。将来的にはこれらの細胞を組織に移植することにより虚血に陥った部位の血管新生を促進するための利用なども可能になると思われ重要である。
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