研究分担者 |
樋田 京子 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 特任准教授 (40399952)
樋田 泰浩 北海道大学, 北海道大学病院, 講師 (30399919)
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20162802)
東野 史裕 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (50301891)
戸塚 靖則 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 特任教授 (00109456)
|
研究概要 |
平成23年度の研究成果としては、ヒト末梢血からの前駆細胞が正常血管内皮細胞に比較して血管新生能がが高いことを確認した.さらに今年度は前駆細胞が低酸素環境や低血清環境において他の正常血管内皮細胞と比較して生存能が高いのかどうかについても解析した.CD90陽性でかつ血管内皮マーカーポジティブな前駆細胞は低血清・低酸素環境下においてもアポトーシスをおこしづらく,生存能が高いことが示された.このことより虚血に陥った組織においてこれら前駆細胞が血管新生に有利に働く可能性が示唆された. また,スフェロイドプレートによるスフェロイド形成能も高いことから血管新生能が高ことがわかった.さらにこれらの細胞はVEGFR2の発現が高く,VEGF刺激によるAktの活性化も正常血管内皮細胞よりも著しく,VEGFによって動員されやすいことが示された.次に初代培養である前駆細胞をin vivo移植して組織への動員の程度を解析するために細胞のラベリング法を検討した. ウイルス発現ベクターによる蛍光タンパクの発現をせずにこれら細胞を蛍光標識して生体内でトレースするためにPKH26dyeやPKH67dye,さらにPolalicなどにより細胞を蛍光標識して生体内で観察可能期間や蛍光強度,また検出する手法についても検討を行っている.1週間くらいの期間であれば標識された細胞の検出が可能であることが示された.マトリゲルでこれらの細胞を懸濁しマウスの皮下に移植してinv ivo血管新生能を検討したところ,正常血管内皮懸濁マトリゲルよりもより多くの血管新生が見られた.これら前駆細胞において,COX-2,VEGFのほか,幹細胞マーカーの他に腫瘍血管内皮細胞において発現が充進していた分子のいくつかの分子の発現充進も見られ,その高い血管新生能のメカニズムの一つと考えられた.
|