研究概要 |
骨再生のための生体材料として開発中のリン酸オクタカルシウム(OCP)とコラーゲンの複合体(OCP/Col)について,ビーグル犬の頭蓋冠臨界骨欠損部,口腔内の拡大抜歯窩および人工的顎裂部において優れた骨再生能を確認しているが,再生された骨組織内には僅かだがOCPの残存顆粒が認められ,完全な骨組織への転換のために改善すべき点があると思われる.臨床応用上とくに顎裂部への骨移植の代替治療法として適用するには,再生骨内への歯の移動はもちろん,再生骨内から障害なく未萌出永久歯が自然萌出しなければならない.そこで本研究の目的は形成された再生骨組織内に歯が自然萌出するか否かを確認し,永久歯萌出前の顎裂閉鎖に本材料の使用が妥当であるか,さらには本材料の最適化についての検討を行うことである. 今年度は,生後2か月乳歯列期のビーグル幼犬において,下顎左側第2・第3乳臼歯と後続永久歯の第3・第4前臼歯との萌出交換の時期を確認するために,経時的な口内X線写真撮影と口腔内診査を行った.それによって文献的報告同様に生後155日前後に萌出交換がみられ,本実験の対照となる基礎的資料が獲得できた.また,本実験である下顎左側第2・第3乳臼歯抜去後に歯槽中隔の残存骨を除去して拡大した抜歯窩に対しOCP/Colの埋入実験を行い,後続永久歯の形成状況と萌出交換について2週間毎の口内X線写真撮影と口腔内診査による経過観察中である. 次年度は本実験数を増やし,各種材料の埋入実験を継続して行う予定である.
|