研究課題
自己修復能に乏しい軟骨疾患に対する治療は、耐久性、感染、ドナーサイトトラブルなどといった問題点があった。新しい治療法として再生軟骨医療が登場し、現在は自家軟骨細胞移植が普及したが適応には限りがある。したがって本来臨床において必要とされる軟骨を作製するためには足場素材(スカフォールド)の使用が不可欠である。申請者らは生分解性ポリマーとハイドロゲルの両者の併用をすることにより欠点を補い、利点を生かした次世代型再生軟骨であるコンポジット・スカフォールドを用いた新規再生軟骨の検討開発を進めている。本研究では早期臨床応用を目指し、その足場素材の90%を占めるハイドロゲルの再生軟骨組織内の胴体を検索し組織反応を抑えた新規コンポジット・スカフォールドの確立を目指す目的で実験を施行している。実験計画をもとに、現在高気孔率型のPLGA多孔体と併用するハイドロゲルの検索を行った。まず、ヒト軟骨細胞を第2継代まで培養し10^7cellを各種ハイドロゲル100μlに懸濁し、高気孔率型生分解性ポリマーに浸漬させヌードマウス皮下に移植し2ヶ月後に摘出、生化学的、組織学的検討を施行した。現在の時点ではアテロコラーゲンの軟骨再分化能が優れていると考えられ、追加実験を行う予定である。また、足場素材の分解機構と分解産物の分子的解析も並行して実験している。軟骨細胞自身によるハイドロゲル分解機構を評価するため、各種ハイドロゲルとヒト軟骨細胞を混和し軟骨細胞ペレットを作製、再分化誘導因子を含んだ培地にて培養を行い、再生軟骨を再現しハイドロゲルの分解機構を解析している。今現在、再生軟骨のタンパク分解酵素遺伝子発現のパターンをPCRにて検討したところMMP-1、9、13因子にてゲル間による差を認めたため、さらにリアルタイムPCRによる検索や、組織学的検索、ペレット培養液上清に含まれるタンパク分解酵素についても計測する予定である。
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Biomaterials (In press)