研究課題/領域番号 |
21592570
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
牧田 浩樹 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (50345790)
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研究分担者 |
加藤 恵三 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (40397336)
山下 知已 岐阜大学, 医学系研究科, 准教授 (80345793)
米本 和弘 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (80422731)
柴田 敏之 岐阜大学, 医学系研究科, 教授 (50226172)
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キーワード | ラット / 4NQO / 発癌 / メチル化 / 舌 |
研究概要 |
本研究は4NQO誘発ラット舌発癌モデルを用いて、病変発症前から前癌病変(軽度異型粘膜~高度異型粘膜)、癌(早期癌、浸潤癌)までの組織を採取し、ヒト口腔癌でDNAメチル化異常が報告されているさまざまな癌抑制遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化異常を詳細に解析し、病変の進行過程とDNAメチル化異常の関係について明らかにすることを目的とした。 【材料と法法】F344ラットに8週間20ppmの4-NQOを飲水投与し、投与開始から2、4、6、8、10、12、20、32週後に犠牲死した。舌組織を採取し、病理組織学的検索と遺伝子学的検索を行った。病変と舌正常上皮から抽出したDNAは、バイサルファイト処理後、メチル化異常の解析をmethylation-specific PCR(MSP)法とリアルタイムMSP法で行った。タンパク質の発現は、免疫染色にて検索した。【結果】MSP法において、4NQO投与開始から投与終了後の12週までの舌組織では、p16のメチル化は検出されなかった。しかし、20週では舌背後方部の一部の前癌病変においてメチル化が検出された。32週では扁平上皮癌において、より明らかなp16のメチル化が検出された。また、癌の発生が少ない舌前方部の正常組織においてもメチル化を検出したものを認めた。リアルタイムMSP法においても、32週後のラット舌では、20週後に比べてp16のメチル化レベルが、舌前方、後方のいずれにおいても高い結果となった。しかし、p15、E-cadherin、MLH1、RASSF1Aでは、いずれもMSP法でメチル化は検出されなかった。p16タンパク質の発現においては、p16の高メチル化が検出された扁平上皮癌では発現が認められなかった。しかし、メチル化が認められた前癌病変(異型上皮)において、p16タンパク質の発現の増加が認められる部位もあった。【結論】4NQO誘発ラット舌癌モデルでは、前癌病変やその周囲組織のp16癌抑制遺伝子のプロモーター領域のメチル化による発癌への関与が示唆された。
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