研究課題
ヘパラナーゼタンパク質の大腸菌による発現系を構築するため、まず基礎的な実験方法の習得を目指して、あるセリンプロテアーゼの発現・精製を行うとともに、ヘパラナーゼcDNAの供与を他機関に依頼している。マウス器官培養実験については、培養条件の改善を検討し再実施中である。歯根形成期における免疫組織化学的検討として、骨芽細胞分化因子Runx2とosterixの両因子がセメント芽細胞分化に重要であり、これらにより転写調節されるosteopontinをセメント芽細胞が基質として産生することを報告した(Hirata, A. et al. J Histochem Cytochem 57, 2009)。さらに、歯周組織として重要な骨組織形成へのヘパラン硫酸とヘパラナーゼの関与を明らかにする目的で、二次口蓋形成過程におけるosterix、骨基質タンパクosteopontin、ヘパラン硫酸およびヘパラナーゼの局在について検討した。口蓋突起癒合後に口蓋骨形成予定域に細胞の集積を、骨形成は生後0日に観察され、osterixは骨表層の骨芽細胞に、osteopontinは骨梁表層に認められた。形成された骨基質の一部にヘパラン硫酸局在が観察された一方で、ヘパラナーゼは骨表層の骨芽細胞に認められた。これらのことより、口蓋骨形成は口蓋突起癒合後に開始すること、骨芽細胞が産生したヘパラナーゼは、骨基質中に存在するヘパラン硫酸に抱合されている増殖因子を遊離・活性化させ骨形成に関与する可能性が推察された。これらの結果については36^<th> European Symposium on Calcified Tissues、第51回歯科基礎医学会学術大会および第54回日本口腔外科学会総会にて報告した。
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Journal of Histochemistry and Cytochemistry 57
ページ: 397-403