研究概要 |
ヘパラナーゼタンパク質の大腸菌による発現系構築は糖鎖付加が不可能であることから困難と判断し、市販のリコンビナントヘパラナーゼを用いることとした。マウス器官培養実験は、予備実験と組織学的検討を繰り返すことで至適培養条件を確定し、確立した実験系を用いてヘパラナーゼ添加による器官培養実験を行い、組織学的検討を行っているところである。apical spaceビーズ埋入モデルマウスについては、強度の炎症反応が観察されたため、試料の採取時期を検討し再実施を計画している。一方、歯周組織再生を考える上で、口腔粘膜、歯槽骨(顎骨)も重要であると考え、これらの発生・形成初期のステージを観察するために、頭蓋顎顔面発生に重要なHomeobox遺伝子に属すHOXC遺伝子に着目し、二次口蓋形成過程におけるHoxc4, Hoxc5, Hoxc6の局在について検討した。Hoxc5は初期には口蓋突起間葉系細胞に、口蓋突起水平位時には口蓋突起上皮細胞および口蓋突起基部に集積する間葉系細胞(骨芽細胞)に観察された。これらはPCNAの局在性と類似していたことから、Hoxc5は口蓋突起の増殖と分化に関与することが示唆された。口蓋突起癒合期に観察される上皮索、上皮島、上皮トライアングルに局在が認められたことから、Hoxc4, Hoxc5およびHoxc6が癒合部上皮組織の消失に関与する可能性が示唆された。生後0日では口腔粘膜上皮にHoxc5およびHoxc6、鼻腔粘膜上皮にHoxc4およびHoxc6が局在したことから、即HOXC遺伝子は口腔あるいは鼻腔粘膜上皮の最終分化を調節することが推察された。これらの結果については、XX Congress of the European Association of Cranio-Maxillo-Facial Surgery、第55回日本口腔外科学会総会にて発表した。
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