研究課題
平成23年度では、鎖骨頭蓋異形成症モデル動物であるRunx2ヘテロ欠損マウスの歯を移動したときの伸展側のin vitroにおけるモデルとして、上記マウス由来骨髄間質細胞をオリジナルの細胞伸展装置で伸展力を負荷して、さらなる分子生物学的な分析を進めた。平成22年度の研究では、野生型およびRunx2ヘテロ欠損マウス由来骨髄間質細胞の伸展による増殖促進、さらにRunx2ヘテロ欠損マウス由来細胞の増殖遅延が認められた。この結果を踏まえ、伸展により増殖促進した細胞のさらなる分析を、両マウス由来細胞を伸展後にタイムコースをとって、フローサイトメトリー法および免疫細胞染色法を用いて行った。その結果、両マウス由来細胞の非伸展群では、経時的な間葉系幹細胞マーカー陽性細胞の増殖が認められ、さらに、伸展により増殖促進した両マウス由来細胞は、共に間葉系幹細胞マーカー陽性を示していた。さらに、骨分化誘導培地下でRunx2ヘテロ欠損マウス由来骨髄間質細胞を伸展後の早期および後期骨分化マーカー発現検討をリアルタイムPCR法等の手法を用いて行った。その結果、両マウス由来細胞で伸展による骨分化マーカーの増強が認められたが、Runx2ヘテロ欠損マウスは野生型に比べて骨芽細胞分化の遅延と低下が認められた。このように、本申請研究は、鎖骨頭蓋異形成症モデル動物であるRunx2ヘテロ欠損マウスを用いてin vitroにおける歯の移動モデルを用い、Runx2のメカニカルストレス応答や骨リモデリングにおける機能を分子レベルで解明することにより、鎖骨頭蓋異形成症患者の抜歯窩の治癒遅延や歯の移動遅延に対応する効果的な治療法の開発、本症患者以外の過剰歯や埋伏歯の治療への応用など、歯科矯正臨床の発展に寄与することを目標としでおり、本研究の意義は極めて高いと考えられる。
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