研究課題/領域番号 |
21592588
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
五十嵐 薫 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (70202851)
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研究分担者 |
春山 直人 東京医科歯科大学, 歯と骨のGCOE拠点, GCOE拠点形成特任教員 (70359529)
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キーワード | アメロジェニン / エナメルタンパク / 骨代謝 / エストロゲン / 歯学 |
研究概要 |
歯周組織再生を期待して広く用いられているエムドゲイン(EMD)はその効果が認められているものの、作用機序が依然として不明である。我々は以前エムドゲインの主成分であるエナメルタンパクのアメロジェニンが、卵巣摘出マウスの骨代謝に影響を与えることを発見した。卵巣摘出時などのエストロゲン量の変化はIL-6の産生を増加し結果的にRANKLの発現を増加すること、骨芽細胞の一酸化窒素(NO)の産生量を変化させ骨量に影響を与えることが判っており、アメロジェニンはこれらのシグナル経路を変化させている可能性がある。 そこで今年度は「アメロジェニンはNOの発現を上昇させることで、エストロゲン低下時のNO産性低下を補い、骨密度低下を防止する。」という仮説を、骨系細胞の培養を通じて検証した。野生型マウスおよびTGマウス頭蓋冠由来骨芽細胞をLipopolysaccharide(LPS)存在・非存在、エストロゲン添加・非添加の組み合わせで24時間・48時間培養後、培地を回収しNitrate/Nitrite Colorimetric Assay Kitを用いて、NO産生量を比較検討し現在解析中である。昨年度のリアルタイムPCRの結果と合わせて考察を行い、結果を国際誌に投稿準備中である。 アメロジェニンは従来エナメル芽細胞のみに発現していると考えられてきたが、マラッセの上皮遺残にも発現しており、アメロジェニンの役割を解明することは、矯正治療における病的歯根吸収のメカニズム解明につながる可能性がある。サイトカインやNOの骨との関連性に関する研究は数々あるが、エナメルマトリクスがインターロイキンやNOの発現あるいはシグナル経路に影響を与える新たな可能性が示唆されたことから、歯周病治療に用いられているエムドゲインの作用機序の一端を明らかにすることに寄与できたと考えられる。
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