研究概要 |
九州大学病院CLPクリニックで初回手術を受け、5歳時(平均60.2ヵ月)、10歳頃の研究模型がある85名(男45名、女40名)を用い5-year-old index、Goslon yardstickによる咬合評価を行った。また同対象の5歳時、10歳頃時、15歳以降(平均18歳3ヵ月)の側面頭部X線規格写真を計測し、顎顔面形態変化と咬合評価との関連を調べた。[咬合評価結果]5-year-old indexは平均2.96であり、Goslon Yardstickは平均2.85と良好であった。両咬合評価間では、有意な相関関係を認めた。5歳時から10歳までの咬合評価は、被験者の42.3%で変化なし,35.3%で良くなり,22.3%で悪化していた。男子は咬合評価が悪化、女子では改善する傾向が認められた。[咬合評価と顎顔面形態との関係]側面セファロによる顎顔面形態とよる咬合評価の相関関係を調べると、下顎骨オトガイ部の前突と強い関係が認められた。10歳時Goslon yard stickは成人期における角度Angle of Convexity, A-B plane angleと正の相関、角度A-N-BやFacial plane angle, Y-axis angleと負の相関を示し、上下顎の相対的前後関係と有意な関係を認めた。 [咬合評価と顎顔面成長との関係]5歳から10歳までの顎顔面の成長量はGoslon Yardstickによる咬合評価グループ間で有意差を認めた。しかし、10歳以降の顎顔面の成長変化とGoslon yard stickによる咬合評価の関係では、Pogの垂直的成長量とArの前後的成長量に統計的有意差を認めたが、他の部位には差を認めなかった。Goslon Yardstickは10歳以降の顎顔面の成長との間に関連性を認めず、これら咬合評価からは、その以降の成長変化の予測は不可能と考えらる。本研究結果はこの咬合評価をpredictive scaleとすることを支持できないと考える。
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