研究課題/領域番号 |
21592598
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鈴木 陽 九州大学, 大学病院, 講師 (20037542)
|
研究分担者 |
竹之下 康治 九州大学, 歯学部, 准教授 (50117157)
窪田 泰孝 九州大学, 大学病院, 講師 (60205151)
笹栗 正明 九州大学, 大学病院, 准教授 (00225898)
|
キーワード | 口唇裂口蓋裂患者 / 咬合評価 / 顎顔面形態 / 成長 / Goslon Yardstick / 継年資料 / セファロ分析 / 石膏模型 |
研究概要 |
85名の片側性唇顎口蓋裂患者の経年的研究模型におけるGoslon Yardstickによる咬合評価とその成人期に至るまでの顎顔面発育の相関分析、更には38名の男性唇顎口蓋裂患者と46名の女性患者の生後3カ月から成人期までのセファロにおける顎顔面形態の経年的成長研究を行い、次の結論を得た。 (1)Five-year-old index, Goslon Yardstickという咬合評価の尺度は、容易で簡便な方法であるが、あくまでも評価時点までの顎顔面頭蓋領域の成長の結果を評価しているものである。(2)5歳と10歳の咬合評価は大きく変動しなかったが、矯正治療はその評価を良くする傾向にあった。(3)これらの評価結果は、口唇裂口蓋裂患者に加わった口唇形成手術や口蓋形成手術による上顎複合体への影響よりも、派生した下顎骨の成長あるいは成長方向の変化の結果と関連性が高かった。(4)10歳頃に行われたGoslonYardstickによる咬合評価結果は、それ以降成人に至るまでの顎顔面頭蓋領域の成長とは全く相関を示さなかった。この時期には旺盛な思春期成長が関与しているおり、10歳頃の咬合関係を異なるものへと変えてしまう可能性があることが考えられた。また本研究対象においても、Five-year-oldindex, Goslon Yardstick共に良好な咬合評価をえられていた患者が、成熟してみると外科矯正治療が必要になった症例があった。(5)集団としての片側性口唇顎裂、片側性唇顎口蓋裂、口蓋裂単独症例の検討からは、口唇裂口蓋裂患者に加わった口唇形成手術や口蓋形成手術による上顎複合体への影響が示唆されたが、下顎骨は類似した成長様相を示した。即ち、形成手術の上顎複合体への影響を考察しなければならないが、本研究対象の手術方法は一定であり、多施設間比較研究が必要と考えられる。(6)集団ではなく、個体の変化を見ると様々な成長変化が認められ、咬合評価あるいは顎顔面形態の評価、あるいは思春期成長を含むその家族の持つ遺伝的影響を成長予測に取り入れ、低年齢で評価・予測できる方法を模索・検討する必要がある。
|