研究課題/領域番号 |
21592599
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山口 登 九州大学, 歯学研究院, 助教 (00230368)
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研究分担者 |
野中 和明 九州大学, 歯学研究院, 教授 (90128067)
増田 啓次 九州大学, 大学病院, 講師 (60392122)
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キーワード | アディポネクチン / ダウン症 / 肥満 / 歯周疾患 / 歯石 / 唾液 / IgA / 齲蝕リスク |
研究概要 |
ダウン症児は、齲蝕の感受性が低い反面、歯周疾患に罹患しやすいとされてきた。そこで、これまでにインフォームドコンセントの得られた九州大学病院小児歯科外来受診ダウン症児25名(2歳~29歳)の口腔内診査および齲蝕リスク検査を行った。口腔清掃状態は患児すべて不良であり、そのうち23名は明らかな歯肉炎を呈していた。また、過去の報告と同様、本症例においてもダウン症児の大幅な萌出遅延により永久歯齲蝕が少ないという傾向がうかがえる。齲蝕リスク検査において、ほとんどの患児のS.mutans菌数は高いレベルで検出された。一方、未刺激唾液を検体とした唾液緩衝能はやや低い傾向にあった。また、同患児の唾液pH・電解質分析をEX-Ca分析装置(常光社製)により行ったところ、健常児との比較ではNaおよびCa値がやや高い傾向となっていた。やはり、ダウン症児の口腔内では、歯石の沈着が著しい傾向にあり、このことが歯周疾患に主要な原因の1つとなっているため、口腔ケアにおいて歯石沈着抑制剤(ポリリン酸ナトリウム)配合のジェルの使用を開始した。さらに当院では昨年9月より口腔疾患リスクの高い患者に対応する予防のためのツールとして3DSを新たに導入した。実際、ダウン症児においても同ツールの有効性が認められており、今後、同患児の口腔環境改善に役立てて行きたいと考えている。さらに採取した同患児の唾液中のアディポネクチンレベルおよびIgAレベルを測定し、健常児との比較を行った。両者間に統計学的な有意差は認められなかったが、肥満傾向にあるダウン症児の口腔疾患予防の指標となるかどうかについては、今後さらなる検討が必要と考えられる。3DSについては、口腔管理の困難なダウン症児を含めた障害児に広く応用できるような薬剤の開発も念頭にいれて研究を進めている。
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