研究課題/領域番号 |
21592601
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
細矢 由美子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80112803)
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研究分担者 |
宮崎 真至 日本大学, 歯学部, 教授 (70239391)
井上 孝 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20125008)
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キーワード | フッ化ジアミンシリケート / 脱灰乳歯象牙質 / 細管封鎖 / 再石灰化 / 齲蝕進行抑制 / 審美性 |
研究概要 |
[目的]:非協力で齲蝕治療が困難な小児に対し、齲蝕進行抑制を目的にフッ化ジアミン銀塗布が行われる場合がある。本材は感染部だけでなく健全歯質も黒変させてしまい、現代の歯科治療概念に反する。そこで、フッ化ジアミンシリケートが歯を変色させない齲蝕進行抑制法として有効か否かを観察する。 「人口齲蝕の作成]:抜去乳臼歯を用いてCalvalhoらの方法に準じた人工齲蝕の作成を試みたが、実験歯を保管中の冷蔵庫が8月に壊れ、人工齲蝕作成中の歯と収集保存中の多くの歯が腐敗してしまい、実験が困難となった。そこで、他の実験の為に冷凍保存してあった乳歯を10%EDTAで脱灰し、人口齲蝕の代用とした。 [フッ化ジアミンシリケート溶液の濃度]:濃度差がほとんど観察されなかった為、0.476mol/1のフッ化ジアミンシリケート溶液を実験溶液として用いる事にした。 「共焦点レーザー顕微鏡観察]:フッ化ジアミンシリケート溶液にローダミンBを入れ、EDTAで脱灰後の象牙質に塗布し、共焦点レーザー顕微鏡で溶液の侵入状態の観察を試みた。塗布面以外の部位も赤染し、フッ化ジアミンシリケート溶液による閉鎖がほとんど見られなかった。 [SEM/EDX分析]:フッ化ジアミンシリケート溶液をEDTA脱灰象牙質に擦り込むように塗布し、自然乾燥させた象牙質面をSEM観察すると、象牙細管が閉鎖された像が観察された。しかし、閉鎖が全くみられない部分もあり、細管が密封されているわけでもなかった。 EDX分析の為に分割象牙質面の鏡面研磨を行い、超音波洗浄を行ったところ、象牙細管内のフッ化ジアミンシリケート粒子は完全に消失していた。 [今後の課題と計画]:フッ化ジアミンシリケートは、予想以上に水に溶け易い事がわかった。 塗布方法や薬液の粘性度を変えた場合について、再度観察を行うと共に、齲蝕象牙質に塗布した場合についても観察を行う予定である。
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