[目的]:フッ化ジアミンシリケート溶液を人工脱灰乳歯(抜去健全乳歯)に塗布し、歯質変色の有無並びに塗布面の組織変化について分析し、本材の齲蝕抑制効果を観察した。[結果]:<着色の有無>:脱灰・AgFの歯は褐色に変色したが、脱灰・AHFでは肉眼的な変色は認められなかった。<塗布面の組織変化>: S E M観察;人工唾液浸漬群では、AHF塗布エナメル質面は多量の球状粒子を含むゲル状の膜で覆われており、AHF塗布象牙質では、脱灰により開口した象牙細管の多くが球状の粒子により封鎖されていた。S E M/ E D分析; 1).エナメル質では、AHF塗布による齲蝕抑制効果は何ら観察されなかった。しかしながら、象牙質では、AHF塗布後に人工唾液に浸漬しなかった群のF%とCa/ Pが、他の群と比較して有意に高かった。[考察]:脱灰歯質に対するAHF塗布は、歯を変色させずに齲蝕の抑制と再石灰化を促す可能性が示唆されたが、確実な効果は観察されなかった。
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