研究課題/領域番号 |
21592602
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
西口 美由季 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10253676)
|
研究分担者 |
藤原 卓 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00228975)
星野 倫範 長崎大学, 長崎大学病院, 講師 (00359960)
釜崎 陽子 長崎大学病院, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30253678)
|
キーワード | 感染性心内膜炎 / 歯科治療 / DGGE法 / 微生物群集解析 / 口腔フローラ / rodA遺伝子 / ゲノムシークエンス |
研究概要 |
口腔フローラは300種を超える細菌種で構成される複雑な細菌叢である。この口腔フローラで大多数を占める種が口腔レンサ球菌と呼ばれるStreptococcus属である。この口腔レンサ球菌は常在菌で通常は強い病原性を示さないが、日和見感染により亜急性感染性心内膜炎を引き起こすものが含まれている。口腔内からの菌にて感染性心内膜炎を引き起こした場合がほとんどこれにあたる。 平成21年度はこれらの口腔レンサ球菌を標的としてRod shape-determining protein遺伝子(rodA)の多様性に基づいたDGGE法を確立し、これに基づいて平成22年度は唾液を検体として細菌叢の網羅的解析を行った。また、実際に感染性心内膜炎を引き起こし、口腔由来と考えられるレンサ球菌の臨床分離株を入手出来たことからこの菌株の生化学的性状検査と16SrRNA遺伝子から菌種を推定した。特にStreptococcus mutansと同定された菌株のゲノムDNAのドラフトシークエンスを決定し、既にデータベース上に発表されているゲノムシークエンスとの比較を行い、心内膜炎特異的な病原因子の検討を行った。 平成23年度はレンサ球菌以外の口腔細菌も調査するために、BML社のう蝕検査、歯周疾患検査、日和見菌検査を利用して、小児歯科外来患児の唾液を検体として、Lactobacillus属などのう蝕関連細菌、Porphyromonas gingivalisやAggregatibacter actinomycetemcomitansなどの歯周病菌、Streptococcus pneumoniaeやHaemophilus influenzaeなどの日和見感染菌の調査もあわせて行った。更に、IEを起こした患児から分離されたStreptococcus oralisのゲノムシークエンスを行い、現在10個ほど残ったgapシークエンスを解析しているところである。また本菌のゲノム状の特徴としてはハウスキーピング遺伝子はStreptococcus oralisに分類されるものであるが他のシークエンスのホモロジーがデータベース上に存在するものの比較で80~95%と低いため、この点でIEとの関連が示唆できないか検討中である。
|