研究課題
顎顔面は、胎生期に顔面突起の増殖と癒合により形成される。様々な転写因子やシグナル分子が正確かつダイナミックに伝達され、顔面突起の成長をコントロールしている。LIM homeoboxは、個体発生のボディプランとされる遺伝子群で、そのうちL3/Lhx8遺伝子は、上唇の癒合時に上顎突起と前頭鼻突起に特異的に発現することが明らかとなっている。今回われわれは、上顎突起におけるL3/Lhx8遺伝子発現のメカニズムをchick embryoを用いて検討した。上顎突起と前頭鼻突起が癒合する前(Stage 20HH)のchick embryoの上顎突起に、各種の転写因子やシグナル蛋白を浸潤させたbeadsを埋入した。24時間後にembryoを摘出し、L3/Lhx8プローブを用いてWholemount in situ hybridizationを行った。また上顎突起からtotal RNAを抽出しRT-PCRによる定量解析を行った。上顎突起にFGF-8Bを投与するとbeads周辺にはL3/Lhx8発現が増加した。SU5402 (FGF inhibitor)を投与すると、L3/Lhx8発現量は有意に減少し(P<0.05)、上顎の劣成長と唇裂を発症した。BMP4あるいはNoggin (BMP inhibitor)を投与した場合、L3/Lhx8発現はほとんど変化しなかった。L3/Lhx8遺伝子は、上顎の形成に関与し、FGFを介した経路によって発現制御されていることが示唆された。
すべて 2009
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Angle Orthodontist 79
ページ: 249-252
Nature Cell Biology 11
ページ: 1205-1211