本研究の目的はメカニカルストレスによる骨のリモデリングのメカニズムを、マウスの歯に負荷をかけることによって解明しようとするものである。歯槽骨のリモデリングは比較的短期間で生じ、またマウスを使用することは遺伝子レベルでのメカニズムの解明には必要不可欠と考えたためでる。モデルとしてマウス上顎の器官培養を用いる計画であり、初年度である平成21年度には、そのモデルの開発と確立を第一の目標に設定した。 マウスの上顎を摘出し、器官培養に付すことは可能であった。コイルスプリングと小さなボルトを使用することにより、歯に荷重をかけることは可能であった。しかしその荷重量をコントロールするのは原理的には可能であるが、一定にするのは困難であった。装置は小さいのが要因であると考えるが、今後の改良が必要である。 組織を生かしたまま培養下でテストをするのは最長でも5日間が限度であった。組織学的検索にて、歯槽骨内での歯根の偏位から荷重が加わっていることは明らかであったが、5日間で歯槽骨のリモデリングが生じているかは、蛍光性キレート剤では確認できなかった。また長期間可能な器官培養条件を見つけることは困難であった。 申請時の研究の背景にも記載してあるが、実際に歯槽骨のリモデリングが生じる前に何らか変化が遺伝子発現で生じているはずで、実際に歯根膜の細胞に注目するとメカニカルストレスを与えた数時間以内に変化が起こっていることが確認できた。即ち線維芽細胞でのI型コラーゲンの発現は早期より圧迫側で減少することがわかった。
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