研究課題/領域番号 |
21592612
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
高橋 摩理 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (20445597)
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研究分担者 |
向井 美惠 昭和大学, 歯学部, 教授 (50110721)
内海 明美 昭和大学, 歯学部, 講師 (40365713)
大岡 貴史 昭和大学, 歯学部, 講師 (30453632)
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キーワード | 自閉症スペクトラム / 偏食 / 感覚偏倚 / 嚥下時舌運動動態 |
研究概要 |
自閉症スペクトラム児(ASD)の摂食の現状を把握し、摂食機能に影響を与える要因を検討するために以下の研究を行い、学会発表、論文発表を行った。 アンケート結果から食事における問題行動には触覚・視覚・聴覚などの感覚偏倚が関係していることが明らかになった。また偏食との関連の強い項目は発達レベル、嫌いな触覚、好きな視覚であった。感覚偏倚はASDに特徴的にみられ、日常生活に様々な障害をもたらしている。食事場面においても感覚偏倚の影響が大きいことがわかり、対応が必要と思われる。感覚偏倚に関連する項目で、嫌がる行為(洗顔、洗髪など)は年齢が高い群で減少しており、嫌がる行為が改善した集団を検討することが、感覚偏倚への対処の一助になるのではないかと考えられた。 ASDの特徴的な食べ方(捕食時上唇を使わない、咬断を行わない)を健常成人・小児を対象に再現してもらい、摂食・嚥下機能の検討を行った。 捕食条件を変えてペースト食を摂取させた場合、上唇を用いて捕食を行ったほうが嚥下時舌運動が効率的であった。小児の場合、上唇を用いない場合、嚥下時の舌の陥凹形成が不十分であった。固形食では、咬断した場合と直接口腔内に入れた場合、成人では一定の傾向が認められなかったが、小児では後者の方が咀嚼回数が多い結果となった。 上唇や前歯を用いて捕食を行うことによって、摂取する食物の物性を確認し、摂取量を調整できる。本研究により、捕食が確実に行われない場合、口腔期から嚥下にかけての摂食機能に影響が現れることが明確になった。ASDの食事に関する問題は、偏食や、立ち歩くなど食事における問題行動に対して論じられてきたが、摂食機能への関わりも重要と思われた。
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