種々の血管疾患歩引き起こす歯周病原細菌の局在を明らかにするために、平成23年度において Porphyromonas gingivatisおよびTannerella forsythiaに特異的でヒト細胞組織内における局在を明らかにできるモノクローナル抗体を用いて、まず、入口の歯周病巣組織における局在の解析を免疫染色を用いて行った。歯周病原細菌に対するモノクローナル抗体だけでは歯肉の病的上皮組織の表面に局在するのか、病的歯肉上皮の細胞組織内部に存在するのか明らかに区別することができなかった。そのため、ケラチノサイトに対するモノクローナル抗体も同時に使用して免疫二重染色を行って、P.gingivalisなどの歯周病原細菌が歯肉上皮細胞だけでなく、歯肉上皮細胞内部にも存在することを識別できた。これらの所見は、歯周病患者50名以上の歯周外科時に採取した病的歯肉組織を検体として用い、検索することで見出した。歯周病原細菌が形質細胞などに取り込まれている像は見出すことができなかった。所見をまとめたものに関しては、学術誌に投稿準備中である。また、リンパ節における歯周組織から、血管病変罹患部位までの輸送経路としてのリンパ節中の歯周病原細菌遺伝子のリアルタイムPCR法による検出に関しては、癌患者において特に歯周病患者というわけではなくても、ある程度の割合でリンパ節から歯周病原細菌遺伝子が検出されたことから、リンパ節が転移経路になる可能性について英文誌に投稿中である。これまで、癌患者の歯周病の程度が明らかでないことが査読者から問題点として指摘され、この研究のサンプルにおいて倫理的な側面から限界があると考えている。その他、3編が英文誌に掲載された。
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