研究概要 |
古細菌シャペロニン(Cpn)とヒトグループIIシャペロニン(CCT)の交差反応性から、古細菌感染と歯周病、さらに自己免疫疾患との関連性を明かにすることを最終的な研究目標とし、平成22年度は以下の研究内容を遂行した。 1.ヒトCCT遺伝子のクローニング 前年度の抗ヒトCCT抗体を使用した古細菌CpnとヒトCCTの交差反応性の研究から、ヒトCCTサブユニットの中でCCT3,CCT4,CCT8が古細菌Cpnと交差反応する可能性の高いことが分かった。そこで、これらCCTの組み換えタンパク質を構築する目的のため、ヒトTHP-1細胞から、それぞれのCCTサブユニットcDNAをクローニングした。 2.ヒトCCT組み換えタンパク質の構築 クローニングしたCCT遺伝子を発現ベクター(T7プロモーター制御)に組み込み、タンパク質発現を確認した。しかしながら、大腸菌内で、安定した組み換えタンパク質の発現が起こらなかった。組み換えタンパク質が大腸菌に為害作用を与えている可能性が考えられたため、より厳密に発現コントロールが可能なベクターを使用する計画に変更する必要性がでた。 3.コールドショック発現系を応用した組み換えタンパク質の再構築 T7プロモーターを応用した発現系では安定したタンパク質発現が得られなかったため、コールドショック発現系のベクターに各CCTの遺伝子を組み込んだ。この結果、安定した組み換えタンパク質の発現を確認することができた。 4.小麦胚芽無細胞発現系ベクターへの遺伝子組み換え さらに、将来的な培養細胞系での組み換えタンパク質の使用を考え、CCT3,4,8の各遺伝子を小麦胚芽系発現ベクターに組み込んだ。 5.組み換えタンパク質の精製 発現した組み換えタンパク質のうち、CCT3についてアフィニティーカラムを用いて精製した。
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