研究課題
これまでの研究で、ヒト歯周組織におけるTNF-α変換酵素(TNF-α converting enzyme : TACE)の局在が免疫学的検索により確認された。また歯周病原菌(Porphyromonas gingivalisやAggregatibacter actinomycetemcomitans)によって惹起されたラット歯周病モデルにおいて、TACE阻害剤により骨吸収が抑制されることが明らかとなり、TACE阻害剤の臨床的有効性が示唆された。一方in vitroにおいては、TACE阻害剤はLPS誘導のTNF-α産生を100nMから容量依存的に抑制することが明らかにされ、そのIC50は1.Ox10-7Mであることが確認された。さらに歯周疾患の成立に関与するといわれる単球特異的走化性因子(Monocyte Chemotactic Protein-1 : MCP-1)に関して、ヒト歯肉線維芽細胞からの産生に及ぼす影響をELISAにより検討した。その結果、P.gingivalisのLPSにより誘導されるMCP-1の産生は、TACE阻害剤により抑制される傾向がみられた。今後、破骨細胞分化因子RANKLの発現を含め、破骨細胞分化へTACE阻害剤が及ぼす影響などについてさらなる検証を行い、歯周病発症抑制のメカニズムを解明しながら、TACE阻害剤の臨床応用への可能性を検索していく予定である。
すべて 2010
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Oral Dis.
巻: 16 ページ: 702-706
月刊糖尿病
巻: 2 ページ: 8-14