TNF-α、IL-1、IL-6などのサイトカインは炎症や骨破壊に深く関与する。近年、関節リウマチの治療で抗サイトカイン療法が実用化されており、歯周病治療への応用も期待できる。我々はこれまで、TNF-αに関する抗サイトカイン療法を検討してきた。さらにスクリーニング的な目的で抗OX40L抗体、抗CD70抗体の有効性も検討予定であったが、より安定性の高いエピガロカテキンガレート(EGCG)において有効性が確認された。EGCGは緑茶ポリフェノールであるカテキンの1つで、マトリックスメタロプロテアーゼやヒアルロニダーゼなどへの酵素阻害作用を有する。今回、THP-1 cellにおけるP.gingivalis LPS刺激によるTNF-α産生への影響を調べたところ、EGCGはTNF-α産生を濃度依存的に抑制した。また、高濃度のグルコース存在下では、その作用はさらに強まる傾向がみられた。EGCGは肝細胞でのグルコース産生を抑制し、かつインスリンレセプターとIRS。1のチロシンリン酸化を促進することで抗糖尿病的作用を示すことが報告されている。EGCGは糖尿病を有する歯周病患者への有効な治療薬となる可能性が示唆された。
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