研究概要 |
骨の欠損部に埋入された人工材料が感染すると,炎症の増大を招き,一般にコラーゲン線維の膜に取り囲まれて周囲の骨から隔離される.インプラント周囲炎の主な原因は,歯周病原細菌の感染によるものである.われわれはまず、BMP2のPLGAマイクロカプセルへのタンパク質担持率を向上させることに成功した.BMP-2の従来の改良前Double emulsion solvent evaporation techniqueによる担持率は,0.018%であったが,改良型テクニックでは,37.5%に向上した.BMP-2担持マイクロカプセルから遊離したBMP-2は,in vitroで,前駆骨芽細胞様細胞であるMC3T3 E1 cellのAlkaline Phosphatase活性を有意に上昇させる. 本研究では,A.naeslundiとP.gingivalisによるチタン表面の付着を走査型顕微鏡で観察したところ,P.gingivalisの単独付着は生じにくいのに比べ,A.naeslundiの単独付着は,コロニー形成が高いことがわかった.また,滅菌処理唾液による前処置で,両者の単独付着のコロニー数は著しく上昇した.一方,脱感染処理に用いたβ-TCPパウダーアブレージョンは,細菌の付着除去効果が高く,チタン表面の全面が,β-TCP粒子に被覆されたのが観察された. 以上の結果より,脱感染処理としてのβ-TCPパウダーアブレージョンは,細菌の除去効果を発揮するだけでなく,チタン表面に残存することで,欠損部内に骨伝導能を示すことが示唆された.
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