研究課題/領域番号 |
21592634
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
山本 松男 昭和大学, 歯学部, 教授 (50332896)
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研究分担者 |
山本 剛 昭和大学, 歯学部, 助教 (80384189)
臼井 通彦 昭和大学, 歯学部, 助教 (10453630)
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キーワード | 歯周病 / 網羅的遺伝子解析 / 接合上皮 / レーザーダイセクション |
研究概要 |
本研究の目的は、歯肉粘膜上皮が歯の表面に付着する機構に着目し、それを担う接合上皮細胞の遺伝子発現やタンパク質レベルの特異的マーカーの検索を通して、上皮付着のメカニズムを分子レベルで理解することである。これまで株化細胞は樹立されておらず、形質変化等で容易ではない。レーザーマイクロダイセクション法を応用することで克服する。 7週齢までのJcl : ICRマウス頭部を凍結薄切(前頭断)の後、接合上皮細群をレーザーダイセクション法によって分離する手法を確立した。 凍結切片においても樹脂包埋と同様に硬組織と軟組織の連続性を保った状態で切片を作成し、標的組織である接合上皮および口腔上皮のみを、それぞれレーザーマイクロダイセクション(ML)を用いて回収し、高品質のRNA抽出を行った。さらに、全RNAを抽出・集積し、マイクロアレイによる発現遺伝子の網羅的解析を行った。接合上皮においてCDK(p21, p15)、actin、α-catenin、Slpi、Myl6、Krt-17、Erp29、Anxa1等の発現が接合上皮で上昇していることが確認された。さらに発現量の増加が認められたSlpi(分泌型白血球プロテアーゼインヒビター)は、抗好中球エラスターゼ作用を持つと知られているが、real time PCR法による発現の定量的解析を行ったところ、接合上皮においてSlpiの発現は口腔上皮に比べ約1000倍高いことが明らかとなった。 この特徴的であるSlpiの、タンパク質レベルでの発現を組織切片上で、免疫染色を行い確認したところ、歯の表面に接する接合上皮部位での強陽性細胞が多数確認される一方で、口腔に面する口腔上皮ではほとんど発現が確認されなかった。また、接合上皮に隣接する歯肉線維層の結合組織を形成する歯肉線維芽細胞で陽性を示す細胞が確認された。
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