研究課題
本研究の目的は、歯周病病変の初期に破壊の進む上皮性付着機構に着目し、上皮付着で発現する分子を凍結切片から顕微鏡下でレーザーによりきりだし分子レベルで解明することによって、その分子機構を網羅的に解析することである。7週齢までのJcl:ICRマウス頭部を凍結薄切(前頭断)の後、レーザーダイセクション法によって接合上皮部分に含まれる細胞群を分離する方法を平成22年度までに確立し、接合上皮で特に発現の高いと思われる遺伝子の中からSLPI(分泌型好中球プロテアーゼインヒビター)について、発現レベル、タンパク質の発現分布などについて解析を行い、Journal of Periodontal Researchに印刷公表をした。平成23年度では、口腔内の常在菌の存在の有無によって生体の反応性の差異にも着目し解析を進めた。その結果、抗菌作用を持つペプチドとして知られているカルプロテクチンを構成するS100A8およびS100A9が、付着歯肉では高く発現していることが明らかになった。元々感染防御に機能することが知られているタンパクであり、好中球での発現がよく知られている。歯肉溝滲出液でもカルプロテクチンの存在が知られていたが、その由来は好中球であろうと予想されていたもの、それ以外の組織での発現についての報告は皆無であった。免疫組織学的染色法により、タンパクレベルでの発現についても確認をすることができた。
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J Periodontal Res
巻: (in press)
巻: 46 ページ: 568-575
日本歯科保存学雑誌
巻: 54 ページ: 424-431