研究概要 |
22年度は歯周病関連細菌浸漬ナイロン糸を臼歯に結紮して実験的歯周炎を惹起したところ,局所に破骨細胞形成を伴う骨吸収を形態学的に観察することができた.またラット骨芽細胞を歯周病関連細菌LPSで刺激した際に産生される骨吸収因子をIL-1 receptor antagonist (IL-1Ra),Type II IL-1 receptor (IL-1RII)は効果的に抑制することを明らかとした.結果の一部は第53回秋季日本歯周病学会学術大会で発表し,愛知学院大学歯学会誌第49巻1号に掲載予定である.また,IL-1 receptor antagonist (Ra)の欠損マウスを用い,歯周病関連細菌菌体成分に対する炎症反応を野生型マウスと比較した.腹腔マクロファージをLPSで刺激し,培養上清中のサイトカイン産生量をELISA法にて測定したところ,培養上清中のIL-1α,IL-1β,TNF-αの産生量は野生型マウスと同程度であった.しかし得られた培養上清をそれぞれのマウス頭蓋冠上に皮下投与し,三日後にマイクロCT撮影および組織学的解析を行ったところ,IL-1Ra欠損マウスの頭蓋冠では頭蓋冠縫合部周辺の骨吸収,線維の不整と断裂および,炎症性細胞や破骨細胞の形成をみとめ,野生型マウスに比べてより強い炎症が惹起していることが観察された.結果は第53回秋季日本歯周病学会学術大会と第3回口腔先端応用医科学研究会にて発表し結果を公表するよう投稿準備中である.さらに,IL-1Ra欠損マウスを用いて歯周病原細菌単独感染による歯周病病態を野生型マウスと比較検討している所であり,23年度には結果の一部を公表する予定である.
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