研究概要 |
IL-1 receptor antagonist (Ra)の歯周病関連細菌による炎症性骨吸収と破骨細胞形成に与える影響をIL-1Ra欠損(KO)マウスを用いて調べたところ,歯周病関連細菌LPS刺激により13週齢IL-1RaKOマウス腹腔マクロファージの培養上清へのサイトカイン産生は野生型マウスと比較してIL-1だけでなく,IL-6やTNF-aも有意にその産生量が亢進し,このことから,IL-1RaはIL-1だけでなく他の炎症性サイトカインの産生をも間接的に制御していることが明らかとなった.次に得られた培養上清をマウス頭蓋冠上に皮下投与したところ,IL-1Ra欠損マウスの頭蓋冠では頭蓋冠縫合部周辺の骨吸収,線維の不整と断裂および,炎症性細胞浸潤や破骨細胞の形成をみとめ,野生型マウスに比べてより強い炎症と骨吸収を惹起していることが観察された。そこで骨吸収に必須の破骨細胞の分化に関与するRANKL発現,PGE2産生,およびPGEレセプターのうち骨吸収に特に関連の強いEP4レセプターの発現がIL-1RaKOマウスで亢進していた。結果を第54回春季・秋季日本歯周病学会学術大会と第135回日本歯科保存学会秋季学術大会にて発表し結果を公表するよう投稿準備中である.さらに,IL-1Ra欠損マウスに実験的歯周炎を惹起したところ,IL-1RaKOマウスでは進行した歯周組織破壊が組織学的にも,形態計測でも観察され結果第54回秋季日本歯周病学会学術大会で発表した。現在骨芽細胞を採取しII-1Raの骨形成に与える影響についての検討も行っているところである。
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