研究概要 |
平成20年に労働安全衛生法の特定化学物質障害予防規則が改正され、ホルムアルデヒドに関してはこれまでよりいっそう厳しい管理が要求される状況となった。歯科臨床では、根管治療などの際に使用される根管消毒剤にホルムアルデヒドの合剤があり、法規制の変更に伴う対応方法の検討が急務である。今回の測定では、使用されたホルムアルデヒド合剤からホルムアルデヒドが蒸散・拡散はするものの,その気中濃度は管理濃度を超えないことがわかった。診療室はホルムアルデヒド合剤を使用していたユニット,使用していないユニット,薬品を使用しない受付ブースを含んでいるにもかかわらず濃度が比較的狭い範囲に収まった理由として、ホルムアルデヒドは蒸気圧が高く,分子量も空気の見かけ分子量に近いため,貼薬に使用されたホルムアルデヒドが速やかに蒸散し,速やかに診察室全体に均一拡散したことによるものと考えられる。 特化則第2類物質を使用する際は局所排気装置を使用して有害物質蒸気等の拡散を抑えることとされているが、こうした吸引装置は局所排気装置に相当し、これを使用することは空気中ホルムアルデヒド濃度の低減に有効であると思われた。
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