研究課題
平成22年度は、口臭症患者の情報をもとに、現在行なっている診断や治療を科学的に分析し、その妥当性や改善などを検討した。口臭症患者は一般的にストレス度が高く、社会生活が営めない、人とコミュニケーションがとれないなどを訴えるものが多い。そこで、社会不安適応障害やうつ状態などに関する質問票Liebowitz Social Anxiety Scale (LSAS)と従来外来で使用している質問票、外来での診査および口臭および唾液量等の測定結果などの診療により得られた情報を総合的に解析した。本研究の対象者(口臭専門外来の受診者)の約50%は社会不安適応障害の高リスク者(スコア30以上)であり、20%は非常に重度(スコア60以上)であった。特に仮性口臭症患者(実際には口臭がないにもかかわらず口臭を気にして者)は真性口臭症患者(実際に口臭が認められる者)に比べLSASの"performance score"は有意に高かった。口臭診療の心理的なアプローチの重要性が示唆された。口臭と唾液の量やムチンなどの唾液成分との関連性について生化学的な解析を行い、ある種の唾液タンパクが口臭と関連性がみられた。また、一般の高校生の口臭発症要因に関する研究も行い、食生活や生活習慣との関連性も示唆された。これらの結果は論文にて発表し、本研究の目的である治療を効果的に行うシステムの構築の基礎的情報を得た。平成23年度は、本研究期間の最終年となるため、今までに行ってきた研究の総括を行い、効果的で効率の良い治療方法を検討するための情報を提供する。
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