口臭を主訴として歯科医院や口臭専門外来を受診する患者の診断に関して、質問票を用いた診断予測やスクリーニング、口腔内の微生物叢を詳細に検査することによる主因の診断などをシステム化することを第1の目的とした。質問票による診断の予測は学会発表や論文により公的に発表され、その有用性が示唆された。 第2の目的として、口臭の治療や強くならないようにコントロールを行う上で、口臭発生の主な要因である舌苔や歯垢付着、唾液成分や分泌量と全身の健康状態や生活習慣との関連性の研究は必要であった。特に口腔の微生物をコンロトールすることが口臭治療・予防になることが明白であるが、機械的に舌苔や歯垢清掃を行うことだけで口臭のコントロールが難しい例もみられた。そこで、口臭を抑制する成分や抗菌作用のある薬剤を配合したマウスウォッシュを効果的に使用することに関しても研究を行った。特に、患者が容易に入手できる市販のマウスウォッシュについて外来の患者やボランティアによる長期使用の臨床効果も調査中であるが、まだ例数が少なく、今後、例数を重ね分析を行う予定である。また、真性口臭症の中で、生理的口臭のコントロールも日常生活で必要となる。生活習慣との関連性は、一般の高校生を対象に調査研究し、学会発表および論文にて発表を行った。 以上の結果から、本研究のテーマである口臭症の診断および治療システム構築に関しては、いくつかの研究発表が行われ、システム構築を行うには、まだ十分とは言えないが、貴重な研究成果が得られた。
|