研究概要 |
わが国においては、う蝕の減少傾向がみらる。そのため,わが国においては,う蝕の減少傾向が続いており,もはやフッ化物洗口プログラムのう蝕予防効果は,ほとんどないという意見がある。これに対して、集団的なフッ化物応用によつて、さらにどの程度までう蝕を減少させることができるのかを予測することが研究の目的である。 本年度は、新潟県内における小学校6年生のう蝕有病率と平均う蝕経験歯数の減少傾向を調べることによって、う蝕予防に関するフッ化物洗口プログラムの効果を評価した。 対象は、2008年の薪潟県における小学校6年生のうち,就学前からフッ化物洗口プログラムを導入していた地域の203校6,098名,およびフッ化物洗口プログラムを導入していなかった地域の236校11,202名のデータを用いた。対象とするデータを検索するために,新潟県小児歯科疾患実態調査のデータをベースにして、本研究のために独目に開発した「地域う蝕看病トレンドモデル集計システム」を用いた。う蝕有病状況を比較する指標として,永久歯のう蝕有病者数、学校ごとの平均DMF歯数、およびそこから算定した加重平均のDMF歯数を用いた。 その結果、1981-84年におけるフッ化物洗口プログラムのう蝕予防率(42.1%)と2008年における同じ予防率(45.4%)とが、ほぼ同様の程度であることが判明した。このことは、う蝕減少傾向がみられる時期であっても、フッ化物洗口プログラムがう蝕の予防に対して、なお効果的であることを示唆するものである(第59回日本口腔衛学会・総会にて発表)。
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