研究課題/領域番号 |
21592645
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小島 美樹 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (20263303)
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研究分担者 |
田中 宗雄 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (90263300)
久保庭 雅恵 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00303983)
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キーワード | 歯学 / 癌 / 疫学 / 栄養学 / 歯の喪失 / 口腔細菌 / 喫煙 |
研究概要 |
本年度は、歯の喪失と癌の疫学的関連性を推定するメカニズムの中で、口腔状態と食生活および栄養摂取との関連に焦点をあてて研究を実施した。 本学附属病院予防歯科を受診した40歳以上の61人を対象として、歯の喪失状況(喪失歯数・喪失部位)および補綴状況(ブリッジ・義歯・インプラントの装着や使用)の検査、食生活調査(124食品の半定量食物摂取頻度調査と8食品の食物摂取受容調査)および7.5mlの全唾液採取を実施した。食事パターンは摂取頻度調査に基づき、健康型(野菜や果物が多い)、伝統型(米・漬物・魚介類など、胃がんと関連)および欧米型(肉類中心、大腸がんと関連)に分類した。唾液サンプルは栄養指標と炎症マーカー値を測定した。 噛めない物があると回答した者は、何でも噛めると回答した者に比べて、健康型の食事パターンが少なかった。喪失歯の有る者は無い者に比べて、唾液栄養指標の値が低かった(P<0.05)。補綴を完了している者は唾液炎症マーカーの値が高かった(P<0.05)。唾液炎症マーカーの値が高い者は低い者に比べて、唾液栄養指標の値が低い傾向にあった。 喪失歯数の増加、補綴未完了や口腔内の炎症は、健康な食生活や良好な栄養摂取を妨げる可能性が示唆された。がん予防の観点から、歯の喪失の防止や欠損補綴の重要性を啓発する必要がある。今後、さらにサンプル数を増加させて性、年齢、喫煙などの交絡要因を含めた解析を実施する予定である。
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