本研究は日常の臨床で簡便かつ高い信頼性を有する味覚検査法を検討し実用化することが目的である。これまでの方法とは全く異なる、ガムを使った味覚検査法を検討したところ ガムベースに全く甘味を添加せずにガムを作成することが困難であることが分かった。そのため ガムではなく寒天を使った味覚検査法を検討した。寒天の硬さと基本味の濃度等の調整条件を決定するため 長崎大学倫理委員会に承認を得て、ボランティア31名の協力により 実験およびアンケート調査を行いデータ採取をした。 本研究による味覚検査は疫学的スクリーニング法として検討しているため 簡便さを求める必要がある。そのため四基本味のうち 摂取が必要である甘味と塩味について検査法を検討することとした。 方法としては、寒天に甘味と塩味を添加し、その味を識別できる濃度を求めることにより味覚検査を行う。材料として伊那寒天「S-5」および伊那寒天「大和」の異なる硬さの寒天を用いた。既存の味覚検査法には「テーストディスク」と電気味覚計による検査がある。これらと寒天を用いた検査法の検査結果を比較検討した。 また味覚検査として適する容量を決定するため容量の異なる寒天を作成した。また甘味および塩味のそれぞれ様々な濃度で至適濃度を検討した。 今回のデータより 味覚検査として用いるための至適な寒天の硬さ・容量・濃度の調整条件がある程度決定した。今後はさらにボランティアの協力を得て 寒天による味覚検査の開発を行う予定である。
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