研究概要 |
本研究は日常の臨床で簡便かつ高い信頼性を有する味覚検査法を検討し実用化することが目的である。昨年度の寒天を用いた味覚検査法の味質濃度・硬さおよび容量の検討結果を踏まえて、本年度は最適な硬さ、テクスチャー特性、形態の調整条件を決定するため、長崎大学倫理委員会に承認を得て、ボランティア29名の協力により実験およびアンケート調査を行いデータ採取した。 材料はテクスチャーの異なる伊那寒天「S-5」「ZR」「AX100」の3種類を用い、それぞれ異なる硬さを作成した。これらは同じ濃度の甘味と塩味で作成しているがテクスチャーが異なるため味覚強度に違いが出る。ボランティアに味覚強度の比較を行ってもらい、得られたデータからより強く味を感じたテクスチャーの寒天を検討した。 また同じ濃度の甘味・塩味の寒天でも形状により味覚強度の違いが観察される。形状はキューブ型・ドーム型・ダイヤ型の3種を用いた。同じ濃度の甘味または塩味の異なる形状の寒天を使ってボランティアによる味覚強度の比較を行った。得られたデータからより強く味を感じた形状を検討した。さらに3種の形状ごとに容量(4種類:2.0ml,2.5ml,3.0ml,5.0ml)と味覚強度の関連についても調べた。 今回のボランティアによるデータ採集から得られた結果解析により、味質検査として用いるための最適な寒天のテクスチャー・形状・容量をほぼ決定することが出来た。今後はボランティアの協力を得てさらに詳細な最適な寒天の条件を決定し寒天による味覚検査法の開発を行う予定である。
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