研究概要 |
<酸蝕症の標準実験系と定量評価の検討>ヒト乳歯(dt)、ヒト永久歯(pt)およびウシ切歯(vt)のエナメル質を実験歯面とし、その半側を透明バーニッシュで被覆した試料を0.1M乳酸溶液(pH4.5)に浸し、37℃で48時間の脱灰像を形成した。ついで、健常成人(男女各4人、平均年齢24.9歳)のパラフィルム咀嚼刺激唾液に脱灰した試料を37℃で24時間浸漬した。脱灰処理終了後と再石灰化処理終了後にQLF測定を行い、脱灰後と唾液浸漬後の蛍光減少率ΔF(ΔFD、%)の差(ΔFR-ΔFD、)をΔF回復量ΔΔFを評価した。結果、dt、pt、vtのいずれにおいても、乳酸脱灰によるΔF値の減少と唾液浸漬24時間後にΔF値の回復が認められ、再石灰化が発現したことが確認された。その差は統計学的に有意ではなかった(t検定)。また、ΔΔFも3群の間に有意差は認められなかった(ANOVA)。dt,pt,vt各々の試料でQLFを用いた脱灰・再石灰化評価に大差はないことが分かった。次に、上記と同様にvt試料を作成し、0,1%クエン酸(pH2.74)または0.1%クエン酸にCa/P=0.3になるよう調整した試薬に浸し37℃で15分間の酸蝕像を形成した。同様にQLFで測定し、蛍光減少率ΔFとWS areaを比較することで、Ca、Pの存在が酸蝕に与える影響を検討中である。<酸蝕症の実態把握と生活習慣との関連性の検討>現在調査準備中である。
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