研究課題
前年度からの研究に引き続き、ウシ血清からのナノバクテリアモノクロナール抗体に反応するタンパク質の精製を継続して行った。その結果、ナノバクテリアモノクロナール抗体に反応するウシ血清中のタンパク質はすべてハイドロオキシアパタイト強く結合する性質を有していた。これらのタンパク質のうち一種類のみがハイドロオキシアパタイトに陽イオン結合しており、残りのタンパク質はハイドロオキシアパタイトのカルシウムに対して親和性を有しアフィニティー結合していることが明らかとなった。これらのタンパク質のうちハイドロオキシアパタイトに対して陽イオン結合しているタンパク質の単離精製に成功した。残りのタンパク質はすべて陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂をはじめとする市販の様々なクロマトグラフィー用の樹脂に対して同一の性質を示しこれらの樹脂を用いたクロマトグラフィーによる単離は不可能であった。また、これらのタンパク質はハイドロオキシアパタイトを用いたクロマトグラフィーにおいても高濃度のリン酸を使用しないと流出せず、ハイドロオキシアパタイトに対する結合力が強力であることが明らかとなった。分子量を基準に分離できるゲル濾過クロマトグラフィーにより分離を試みたところナノバクテリアモノクロナール抗体に反応するタンパク質は一定のフラクションに集中して回収され、そのフラクションのSDS電気泳動像は必ずしも分子量に従って分離された泳動像ではなかった。このことから、ナノバクテリア抗体に反応するタンパク質のうちハイドロオキシアパタイトに対してアフィニティー結合するタンパク質はウシ血清内では単一のタンパク質ではなく複合体として存在していることが示唆された。そこでSDS電気泳動ゲルから切り出しを行い質量分析によりタンパク質の同定を試みたところ、これらのタンパク質の一部は日と血清中にも存在する脂質複合体の一部でることが明らかとなった。
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