医療の高度化、複雑化に伴う業務の増大により、看護師の専門的能力を最大限に発揮することが求められている。看護職者の薬剤管理に関する裁量は、保健師助産師看護師法に規定する業務の範囲内でなければならない。同法第37条の規定から、主治の医師の指示があった場合には医薬品を授与し、指示を行うことができると解されている。平成22年3月の厚生労働省「チーム医療の推進に関する検討会」報告書では、医師の「包括的指示」の積極的な活用が不可欠と記述されている。しかし、この見解は看護管理者および看護職者に十分理解されていない現状が明らかとなった。また、看護職者には薬剤管理に関する消極的な態度がみられる。これは、刑事責任を問われる可能性が大きい医行為のためと推察された。平成23年11月の同省のチーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループによる第17回議事録においても、事前に作成されたプロトコール等の使用に基づいて、患者の状況を把握しながら、適時に医行為をすることの必要性について検討されている。しかし、現状としては、各薬剤管理に関する標準的プロトコールおよびクリティカルパス等が十分整備されてはいない。看護師は医師の指示に関し疑義がある場合、患者の病態に合わせ、そのまま様子を見る、あるいは受診病院の外来看護師を経由して医師へ検討を依頼するなど様々な確認方法を行っていた。今後は、患者の安全性を保証するため、医師と看護職者および薬剤師を中心に薬剤管理に関する標準的なプロトコールの開発と使用方法の検討が各医療機関・施設等に―層求められる。
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