研究課題/領域番号 |
21592676
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
関亦 明子 山形大学, 医学部, 准教授 (50321823)
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研究分担者 |
丸山 良子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10275498)
渡邊 生恵 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30323124)
菅野 恵美 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10431595)
南 優子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60239316)
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キーワード | 放射線治療 / DNA損傷修復因子 / 乳がん / 看護アセスメント |
研究概要 |
本研究では放射線治療における晩期有害事象を早期に予測する科学的な看護アセスメントの指標を確立し、ケアの改善を目指す基盤となる研究を行うことを目的としている。昨年度まで、放射線治療の有害事象に影響すると思われる既知、新奇の関連遺伝子の検索を行うため、DNA損傷修復についてよく研究されている出芽酵母を用いてDNA損傷修復遺伝子に注目して検索を行ってきた。がん細胞はいくつかの遺伝子に変異があると考えられる。そこで、この変異遺伝子の組み合わせを予測するために、ヒトの乳がん関連遺伝子(BRCA1)と類似の出芽酵母遺伝子(RAD9)の欠損の組み合わせで、細胞の増殖能が低下する遺伝子をこれまで検索してきた。Methylmethan sulfonate(MMS)は放射線照射と類似の反応を引き起こすことが知られている。0.01%MMS存在下でRAD9と遺伝的な相互作用を示す25個の遺伝子を報告した。今年度はこれまでにみつかった25個のRAD9と遺伝的相互作用を示す候補遺伝子中に、post-replication repair(PRR)に関わる遺伝子が多数あることを報告した。RAD9遺伝子は、細胞周期S期チェックポイントにおいて重要な役割を果たすことがわかっている。RAD9の欠損によるS期チェックポイントの破綻によって遺伝子の変異を黙認してDNAの複製を優先させるtransletion synthesis(TLS)の経路が、放射線照射と類似の反応を引き起こすMMSの存在下で、DNA損傷修復経路として優先的に働いている可能性が示唆された。BRCA1など、細胞周期チェックポイントに関わる遺伝子に変異があった場合、ヒトの細胞においても放射線照射などにより、DNAに変異が入りやすい等の同様の反応が起こっていることが示唆される。
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